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ボツリヌス菌

  • blueboxantiagingfa
  • 2023年10月5日
  • 読了時間: 7分

更新日:2023年10月12日




1歳未満の子供はボツリヌス菌中毒の危険性があるので、ハチミツを食べさせてはいけないと言うことについて調べた所、ビックリした事がありました。


ちょっと話が逸れるのですが、遥か昔『酸素』は地球に生存していた生物にとって”有毒”な物質だったという事です。


およそ三十八億年前頃の地球にはまだ無酸素な状態であったため、その頃生きていた生物(バクテリアなどの菌類)にとっては酸素は必要ありませんでした。


そこから徐々に地球に酸素が増えて来るようになり、生物は進化と共に有毒な活性酸素を無毒化し処理できるシステムを備え、そして酸素を利用しエネルギーを生み出す能力を身につけました。


なので、考え方によっては“酸素があっても生きる事が出来る”のが私たちだったりします。


そして、酸素が存在する環境では生育できない菌(偏性嫌気性菌)がボツリヌス菌になります。




CONTENTS














ボツリヌス菌とは?

ボツリヌス菌は土壌や埃、海、湖、川などの堆積物に分布している嫌気性菌で、環境が増殖に適さなくなると体内に『芽胞』と呼ばれる耐久性の強い特殊な細胞を作り、食物に取り付く機会をじっと窺いながらも分裂や増殖をせずに休眠状態になります。


ボツリヌス菌自体は有害な物質では無いものの、酸素が極限に少ない状態に置かれると発芽と増殖を行いはじめ、その際に生産される毒素は現在知られている自然界の毒素の中で“最強の猛毒”であるといわれています。


この芽胞は熱や乾燥の耐久がとても強く、乾燥した状態でも数年から数十年にわたって発芽する能力を失うことがなく、100度の温度でも数時間耐えるものもあり、むしろ中途半端に加熱された場合は休眠状態から目覚めを促進し毒素をたくさん作ります。


この毒素は主に人の神経・脳・脊髄などの神経系を攻撃し、重症の場合は筋力低下による呼吸筋麻痺を引き起こして死に至るようです。


仮に体重60kgの人が死亡するのに必要な推定最少量は青酸カリが174mg、キノコ毒が6mg、タイガースネークの蛇毒が0.6mg、フグ毒が0.03mgそしてボツリヌス毒素は0.00006mgと言われており、500gのボツリヌス毒素があれば地球上の全人類が確実に死亡してしまうと言われています。


外務省の情報によると、湾岸戦争時にイラク軍が保有していた生物兵器の中に19000リットル以上のボツリヌス毒素が含まれていたと言われています。。。 [参照:北海道立衛生研究所] [参照:外務省]


現代では日常生活の中でボツリヌス中毒になる可能性は稀であると言われており、仮に中毒になってしまった場合も早期の治療でほとんどの人は完全に回復するようです。 とは言っても、軍隊の生物兵器として保有されていると思うとやっぱり怖いですよね。。。



ボツリヌス中毒

そもそも”ボツリヌス”との名称はラテン語のbotulus(腸詰め・ソーセージ)から来たものと言われ、ソーセージやハムなどから発生したことが起源のようです。


現在でも一般的に知られている食品では自家製で作った果物や野菜などを缶詰やビン詰、真空パックなどに保存されたものや、燻製または生の魚、蜂蜜やコーンシロップなどが挙げれてています。


これはボツリヌス菌が偏性嫌気性菌であることで、真空パックのように酸素が存在しない場所がボツリヌス菌の繁殖を促し、結果毒素が沢山生産されてしまうことに繋がります。


ソーセージやハムなどには防腐剤が入っているものの、一度開封した場合はサランラップなどで包装した場合も菌の繁殖が促されている可能性があります。 なので早めに食べてしまう事や、日時が経過したものはしっかり火を通してから食べるようにしたほうが良いかもしれません。


また1歳未満の乳児の場合、ボツリヌス中毒になる可能性が高い事例は非加熱ハチミツを食べてしまったことが原因のようです。


ハチミツは自然界でミツバチが集めて来るものであるため、ボツリヌス菌の芽胞が混入してしまうことは当然あり得ること、そして非加熱ハチミツは栄養素を損なわない為に熱を加えなことが理由になります。


その為、ハチミツの中でボツリヌス菌は増殖しませんが、1歳未満の乳児にはまだ成人の様に対応出来る大腸菌が居ないので、体内で芽胞が発芽してしまい、腸内で毒素を増産してしまう危険性があります。

乳児がボツリヌス中毒になった場合、泣き声が弱くなったり、授乳が困難になることや、前進の筋力低下などの症状(乳児ボツリヌス症)が表れるようです。


1歳を過ぎる頃には安全な体になるようなので、それまでは加熱されていたとしてもハチミツ入りのカステラなどの焼き菓子などの食べ物や飲み物も絶対に食べさせないで下さい。


成人でもボツリヌス中毒になった場合、気分が悪くなる、喉の渇き、嘔吐や胃の痙攣、下痢便秘などの初期症状が表れ、早急に治療を行わないとかすみ目または複視になることや、瞼が垂れ下がったり、頭から脚にかけて体中に麻痺を引き起こしたり、呼吸困難、嚥下困難などの症状が起こるようです。


生に近い食べ物以外でも、毒素が増幅している可能性もあり得ますので、体調の不調に心当たりがある場合は出来る限り病院へ行った方が良いかもしれませんね。 特別な抗毒素や抗体の注射で毒素を中和する処置や、呼吸などの体の機能をサポートを行って症状の悪化を防いでくれます。



芽胞を死滅させるには

ボツリヌス菌の芽胞は120度の加熱を4分行うことでほぼ死滅させる事ができ、毒素そのものは芽胞よりも熱に弱く80度の加熱を30分程、もしくは100度の加熱を10分行うことで毒性が失われるようです。


従って食べる直前にしっかりと加熱をしておけば、仮に菌が生き残ってしまっても毒素は消えるので、ボツリヌス中毒によるリスクは大きく軽減します。 そして、生き残っているボツリヌス菌も腸内の大腸菌がとどめを刺してくれるので更に中毒の確率は下がります。


また、ボツリヌス菌が増殖してしまっている食品はかなり臭いがあるようなので、明らかに腐敗した匂いがする食品は食べないようにしましょう。


基本的にはボツリヌス中毒や食中毒などの危険性に関しては健康的な体調であれば何も心配はありませんが、病気と戦うシステム(免疫システム)が機能していない場合は注意が必要です。


具体的には幼児や高齢者は免疫システムが完全に機能していない可能性がある事や、味覚や嗅覚を気にせず誤って食べてしまう危険性があります。


妊娠中の女性も免疫システムが変化することで、胎児にも悪影響を及ぼす可能性があったり、糖尿病や癌などの慢性的な病気のある人や臓器移植、肝疾患、または特定の自己免疫疾患を持つ人々も免疫力が弱くなってしまっている可能性があるので気を付けたほうが良いさそうです。


尚、ボツリヌス中毒は人から人へと広がることはありません。





ボトックス治療

加齢と共に笑ったときにできる目尻のしわや、険しい表情を作ったときに出るおでこや眉間のしわの改善、小顔効果、足痩せや多汗症・わきが治療などに使用される“ボトックス注射”の主原料は、自然界一の猛毒と言われるボツリヌス菌が産生する天然のタンパク質『A型ボツリヌストキシン毒素』である事はご存じでしょうか?


筋肉の動きにあまり関連しないシワの箇所へ活用されるヒアルロン酸とは異なり、顔の表情が反映するシワの箇所に対し不要な表情筋の動きを抑える効果があります。 その結果、皮膚にシワが刻まれる頻度が減るのでシワ予防になるようです。 [参照:表参道メディカルクリニック]


このようにボツリヌストキシンは筋肉が収集する力を抑える作用があり、顔の引きつりや、片側の顔やまぶたの筋肉がピクピクしてしまう痙攣、脳梗塞などの後遺症などの神経の働きを抑える治療にも役立っています。


尚、脳卒中を発症された方はその後の遺症が手足の痙縮や麻痺だけではなく、上肢や下肢の筋肉に緊張状態が続いてしまい、手指が握ったままになったり、肘がまがった状態で固まる、足が突っ張るといった症状に見舞われる事も少なくないと言われています。


一方では生物兵器としての危険性も指摘される中、病気の治療にも活用されているということがまさに使い方は”紙一重”ということに驚かされますね。


ちなみにボトックス注射で使用する毒素は生理食塩水で薄められていたり、そもそもこれらの治療で使用する量は少量のため全身に副作用をきたすことは無いようです。 治療の効果は大体2~3ヶ月程なので症状緩和継続のために一定期間ごとに毒素を注射するようです。



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