ホーリーバジル(トゥルシー)の効果
- blueboxantiagingfa
- 2023年10月5日
- 読了時間: 11分
更新日:2023年10月12日

ハーブの種類の中でも料理に扱いやすいバジルや大葉(しそ)などと比べて、ホーリーバジル(トゥルシー)は利用方法が限られると思う人も比較的多いのではないでしょうか?
タイではホーリーバジルを“ガパオ”と呼ばれているように、僕個人としてはガパオライスで使われているイメージが強く、他で言うとベトナムのフォーに荏胡麻の葉などと一緒に添えられていたなぁ。。。位でした。
なので、初めはガパオライスを食べる用として少しだけ庭で栽培するつもりだったのですが、いざ育ってみると薄紫色のかわいい花となんとも言えない強くて甘い香りの魅力にハマってしまい、ホーリーバジルについて色々と調べてみたらビックリ!
ホーリーバジル(Holy Basil)のHolyの由縁に納得出来る点がいくつもあり、ホーリーバジルが持つ自然の力に関しても大変興味深かったので共有しますね。
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ホーリーバジル(トゥルシー)とは?
ホーリーバジル(トゥルシー)はインド中北部で生まれたと言われており、英語では「ホーリーバジル」、サンスクリット語では「トゥルシー」、和名では「神目箒:カミメボウキ」の名で親しまれているシソ科の芳香性低木植物です。
そしてホーリーバジルが持つ薬効と精神的特性の両方が比類の無い植物である事から、ヘルスケア意識の高いアメリカで特に重要なハーブとして選ばれていたり、インドの伝統医学アーユルヴェーダでは滋養の霊宝として珍重されており、その呼び名も“比類のないもの”や”自然の母薬”、”ハーブの女王”、”生命のエリクサー”など愛親しみが持たれている植物です。
種から葉まで様々な部位が人の健康な心や体、精神を育むハーブとして見なされ、怪我や免疫力向上など多くの症状の治療法としてインド医学に歴史があったり、インドでは女の子が生まれるとホーリーバジルのネックレスを与えて幸福と繁栄を祈る風習があったり、多くの家庭やヒンドゥー教の神社の周りでは家族の健康を守るための理由や神聖な植物として植えられていることもあり、古くからインドの人々との関りが色濃い植物でもあります。
また、様々な種類のバジルの中でも群を抜いて香りが高く、ハーブティーや調理などで加熱しても独特のスパイシーさを楽しむ事が出来るホーリーバジルはビタミンAやビタミンC、カルシウム、亜鉛、鉄分、クロロフィルなどの栄養素も豊富に含まれており、治療としての用途さけでなく食用としても重宝されていたり、防虫成分が含まれている事でハエや蚊などの虫除けにも利用されています。
尚、ホーリーバジルの中にも大きく分けて3つの種類があり、葉が緑色のタイプが“ラーマ”または“スリトゥルシ”と呼ばれ、葉が紫色のタイプは“クリシュナ”または“シェヤマトゥルシ”、濃い緑色の葉のタイプは“ヴァナ”もしくは“野生(森)のトゥルシー”などがあります。 [参照:AROUND INDIA] [参照:トゥルシー(薬草)の神話]
ストレス軽減効果
ホーリーバジルは強力な『アダプトゲン:Adaptgen』の一つとして見なされており、人の心に対する幸福度や回復を促進させる薬理作用を持っています。
アダプトゲンとは肉体的疲労や、トラウマや不安等が及ぼす精神的ストレスへの抵抗力を高める働きのある天然のハーブの事で、コルチゾールなどのストレスホルモンに対するバランス調整、脳や臓器機能の改善、身体の炎症やフリーラジカルからの免疫システム向上に役立つ植物性物質の事を指します。
慢性的なストレスやコルチゾールレベルが高くなると、記憶をつかさどる海馬の萎縮や認知症の促進、またコラーゲン生成の阻害や寿命を縮めてしまう原因になることが知られています。
ホーリーバジルが持つアダプトゲンはコルチゾールの抑制に効果的なウルソール酸、ロズマリン酸、オイゲノールなどが豊富に含まれているので、脳や心に良い効果をもたらし認知症予防や鬱、PTSDなどのストレス反応を軽減させる効果が見込めます。
研究結果によれば、患者さんに毎日500ミリグラムのホーリーバジルの抽出物を摂取させた所、不安やストレス、うつ病が減少し、より社交的になったという感想が報告されています。
服用効果
また、ホーリーバジルを料理やお茶などにして定期的に服用する事で、胃酸の減少や粘液分泌の増加、粘液細胞の増加や寿命を延ばす事が出来るので、胃をストレスから守り胃潰瘍などから防ぐ効果があり、ある動物実験ではホーリーバジルの抽出物を与えた所、約66%の動物の胃潰瘍を大幅に減少させたことが報告されています。
ホーリーバジルの葉が抗不安薬のジアゼパムや抗うつ薬に匹敵する効果が研究で認められていたり、人工化学で作られた消化性潰瘍の薬に含まれる副作用が一部の人間に対して不快感を与える可能性がある事を考慮すると、天然植物であるホーリーバジルを治療薬として利用してみる事は身体に対しても良い方法かもしれませんよね。 これらの概念についてアーユルヴェーダや東洋医学等とは異なり、西洋医学では広く使用されていませんが、西洋科学ではホーリーバジルが身体ホルモンや免疫システムのバランスを保ち『ホメオスタシス(恒常性)』を良い状態で維持する多くの薬理作用を実際に持つことが明らかになりました。
ホーリーバジルを活用する場合、葉っぱの部分をお茶にして飲むことをアーユルヴェーダや東洋医学では推奨されているようです。
ホーリーバジルティーはカフェインを含まないので身体へ負担なく毎日飲めるメリットもあり、明確な思考やリラクゼーション、幸福感を育む良いツールになると思います。 [参照:PMC]
免疫力・抗菌作用
ホーリーバジルのお茶はストレス軽減の効果だけでなく葉に含まれる芳香成分の“オイゲノール”が免疫力を高める効果があり、あらゆる角度から健康な心と身体をサポートしてくれます。
また現代の研究では葉っぱに含まれるエーテル(ジエチルエーテル)にも、強力な抗菌作用効果があり、人間の感染の原因となる多くの病原体に対する活性を含む、抗菌、抗ウイルス、および抗真菌活性があることが明らかになっており、オイゲノールの免疫力と相乗することから、身体の治癒の速度と強度を高めると考えられています。
ホーリーバジルのこれらの有効成分が生活習慣病やインフルエンザ予防、臓器機関や消化器官、むくみ、冷え性などから来る身体の不調を抑制し、健康体の改善へ導いてくれます。
そして、前臨床研究によるとホーリーバジルに含まれるオイゲノール、ロスマリン酸、アピゲニン、ミレテナール、ルテオリン、β-シトステロール、カルノシン酸などの植物化学物質がDNA損傷を減少させたり、抗酸化活性の増加や既に癌化した細胞の死滅を促す行為の誘発(アポトーシス)、新しい血管を作り出したり(血管新生)、癌細胞の転移の抑制などを発見し、将来的に新しい抗癌化合物の潜在的な供給源になる可能性があることを示唆しています。
抗酸化作用、アンチエイジング効果
近年ホーリーバジルがもたらす美容やアンチエイジングへの効果が注目されています。
ホーリーバジルの主成分となるウルソール酸、オイゲノール、カリオフィレンなどの抗酸化成分が若返りのホルモン『DHEA』を活性化させ、シミやソバカス、たるみなどの肌トラブルや肌細胞の錆びつきを抑制してくれる抗酸化作用の働きがあります。
研究によればアダプトゲンの効果によって体を酸化させてしまう物質を体内から除去しデトックス作用を促し、有毒な化学物質から体を保護し、癌性細胞の増殖を抑える効果があることも分かっており、細胞に加わるダメージを積極的に軽減させてくれる効果にも期待できるようです。
化粧水(ハーブウォーター)も効果的
ホーリーバジルを蒸留して作られる化粧水(ハーブウォーター)には、血行促進の成分『オシメン』が含まれている事で、明るく透明感のある肌細胞に生まれ変わります。
そして、納豆の粘々している成分でもある“ポリグルタミン酸”がホーリーバジルにも含まれている事で、肌の保湿力やバリア機能を取り戻しキメ細かく潤いの肌に整えてくれます。
キメの整った血行の良い肌に仕上げる事で、紫外線による影響も最小限に抑えて、美しく健康な肌を維持していくことが期待出来ます。
ポリグルタミン酸が持つ保湿力のポテンシャルはヒアルロン酸の10倍ともいわれています。
ダイエットにも効果的
DHEAには代謝を向上し体重減少やコレステロール値の減少、太りにくい体質に改善する作用も同時に期待できます。
血糖値、血圧、脂質(コレステロール)レベルを正常化させる作用が示されており、動物実験でウサギにホーリーバジルの葉を食べさせた結果、オイゲノールに含まれる油分の効果によってLDL(悪玉)コレステロールが減少し、HDL(善玉)コレステロールの増加が確認出来た事や、糖尿病の有無にかかわらず、腎臓や肝臓、心臓の総コレステロールが減少したと報告されています。
尚、血糖値を下げてインスリン感受性を高める効果も見込まれていますが、既に血糖値が低い傾向の人間の場合更に血糖値を下げてしまう可能性もあるようなので、ホーリーバジルを処方する場合は一度医者に相談したほうが良いかもしれません。 [参照:medericenter]
放射線防護効果
世の中が便利になれば、その代償として悪影響を及ぼす副産物が背後で生まれて来る事が多々あります。
その中でも原子力産業が及ぼす放射性物質は、健康被害を引き起こす深刻な要因の1つでもあり、これらの“人工放射線”にはX線検査装置や原子炉の廃棄物などの他にもテレビやコンピューターなどにも含まれています。
体内に蓄積されにくい自然放射線とは異なり、人工放射線は体内を通過する際に人体の細胞を傷つけたり染色体やDNAを破壊してしまう事で、細胞の再構築が困難になり癌や白血病など様々な病気をもたらす危険性があると言われています。
人工放射線の被害をケア
前臨床試験では人工放射線を浴びせたマウスにホーリーバジルを与えた所、ホーリーバジルに含まれる水溶性フラボノイドであるオリエンチンとビセニン、オイゲノールなどの抽出物が傷ついた細胞やDNAを修復し、免疫力の向上を助長した事によって放射線誘発性の染色体異常誘発を防ぎ、放射線の殺腫瘍効果から正常組織を選択的に保護した事、またシトクロムP450酵素などの肝臓解毒酵素の活性を高める事で、有毒な化合物を不活性化し安全に排泄させる相乗効果で、放射線誘発性の病気と死亡から生存率を高める結果が証明されました。
古代からホーリーバジルは人の身体や動植物が自ら生成する自然毒素から保護するために活用されてきましたが、現代の人間の活動から作成された産業毒物である汚染物質や農薬、医薬品、重金属(鉛、ヒ素、カドミウム、クロム、水銀など)、放射線などから保護することも示されています。 [参照:PMC] [参照:もだま工房] [参照:IAEA]
副作用について
前述したようにホーリーバジルは『アダプトゲン』の一種です。アダプトゲンは1940年頃から研究が進められ「身体に与える物理的、化学的、生物学的な刺激(ストレス)に対して、非特異性の抵抗力を高めることによって悪影響を撃退するもの」と1947年にロシアの科学者ニコライ・ラザレフ博士によって定義されました。
また人体に対して無害(副作用の心配がない)事や、生理機能を整える条件を持ったハーブの事を指しています。
インド発祥のアーユルヴェーダでは、古くから生理機能の向上やストレスの緩和の治療法として様々な方法でホーリーバジルが利用されてきました。
そして、近年の研究により自然の力で体質を改善させる為の漢方薬として、人工化学で作られた薬の副作用を避ける為のメリットとして、アダプトゲンの効果が実証されてきています。
しかし、ホーリーバジルには血液凝固を遅らせてしまう可能性も見受けられるので、抗凝血剤を使用している場合や手術の前後2週間は服用しない事が推奨されています。
また授乳中や妊娠中、または妊娠しようとしている場合や、眠気を引き起こす薬を服用している場合もホーリーバジルを組み合わせないようにしましょう。
また男性用避妊薬に効果的な物質を探す為に行った実験によると、生のホーリーバジルをウサギに30日間与えた所、男性ホルモン(テストステロン)は増加しつつも逆に約1億6千万の精子が約1億1千万に減少したと報告されているようです。 [参照:verywellhealth]
料理で楽しもう
ホーリーバジルを素材にした料理と言えば、やっぱりタイ料理のガパオライスやベトナム料理のフォーが定番になると思いますが、調べてみればホーリーバジルを使ったカレーやピザ、サラダ、スープ、餃子など中には果物と氷でシェイクしたジュースなど色々とアレンジされているレシピを見かけました。
個人的にはホーリーバジルをふんだんに使ったジェノベーゼパスタを一度挑戦してみたいなと思います!
ホーリーバジルの原産地がアジア地域であることから、まだまだ知らないだけでホーリーバジルを新感覚で楽しめる美味しいレシピが沢山ありそうですよね!
また、アジア系料理以外にもバジルやハーブを使った料理に一緒に使ってみてもきっと楽しめそうです。
美味しく楽しく健康的にホーリーバジルを活用出来たらイイですよね!
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