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アカシアハチミツの魅力

  • blueboxantiagingfa
  • 2023年10月5日
  • 読了時間: 9分

更新日:2023年10月12日




日本国内で生産される非加熱ハチミツの中でも“ハチミツの女王”とも呼ばれるほど品格があって、とりわけ人気の高いハチミツが『アカシアハチミツ』です。


季節や気候・地域によって様々な種類のハチミツが採れますが、このアカシアハチミツには一体どのような特徴があるのでしょうか?


また、そもそもアカシアとはどんな植物なのか?色々と調べてみましたので共有したいと思います。




CONTENTS

















アカシアとは?

日本では「アカシア」と呼ばれていますが、実は本来の名称は「ニセアカシア」「イヌアカシア」が正解で、また植物学上では「ハリエンジュ」が正式名です。


これは1873年(明治6年)に外来種として日本へ輸入された際に”アカシア”という名称で広まってしまった事が理由とされており、その後本物のアカシアが輸入されてきたことによって、名前の区別を付けるため”ニセアカシア”と呼ばれるようになったそうです。


ただ、ハチミツを販売する際に“ニセ”アカシアのハチミツだと商品価値としてあまり耳障りが良くない事や、既に世間でアカシアとして認知されている理由でアカシアハチミツと呼ばれているようです。


本物のアカシアは「ギンヨウアカシア」や「フサアカシア」などの一般的に「ミモザ」と呼ばれる黄色いかわいい花が咲く植物で、よくホームセンターなどでアカシアの名称で売られている植物がこちらになります。


ちなみに「オジギソウ」もまたミモザと呼ばれていたりと植物の名称はちょっとややこしいです。。。


そして、ニセアカシアは北アメリカ原産の25mの高さにもなるマメ科の高木種で、耐暑性・耐寒性・耐乾性に優れ、海岸や河原・渓流沿い・荒地・岩地などコンディションの悪い土地でも生育することが出来ます。


また、空気中の窒素を生物の栄養源にもなる窒素化合物にして(根粒菌)、それを木の根で共生する特徴があり、貧栄養な土地を富栄養で湿潤な土壌に変えるメリットから明治以降には”足尾銅山”や”小坂銅山”の煙害跡地の森林再生をはじめとする荒地の緑化事業のため積極的に活用されてきた植物です。


衝撃力や曲げに強い耐久性を持ち、菌に対して抵抗が高く腐りにくい耐朽性も兼ね備えたニセアカシアは優秀な木材として昔は造船用やスキー板材として利用されており、1950年代まで一般家庭の暖房や炊事、風呂の焚きつけなどに大いに活用されていたようです。

そんな中でも驚いたのは、モーゼの十戒の石板を収めている『契約の箱』の材質にもアカシアの木が使われているようです。

現在でもフェンスなどの支柱や線路の枕木や木釘、工芸品の材料としても利用されているようです。


花はとても甘い香りがする為、香水の原料として使われたり、ホワイトリカー等に浸けてアカシア酒として利用されたり、おばあちゃんが花穂を天ぷらにするといった事もよく聞きます。しかし、ニセアカシアは”花”以外には”毒”があるようなので気を付けましょう。





嫌われつつあるニセアカシア

花は綺麗で香りも良く、栄養満点なハチミツも採れて、そのうえ痩せた土地を蘇らせる良いことばかりに思えるニセアカシアですが、実は人間によって“根絶”させられる方向へと向かっています。


痩せた土地でも元気に自生出来る旺盛な繁殖力が原因で、日本の在来景観の破壊や在来種の植物に圧迫、農業への影響が問題視されるようになってきました。


ニセアカシアは竹や篠などの根と似て、地表近くを横へ延びて新たな芽を育成していく根萌芽の植物です。 ニセアカシアの根は柔軟かつ頑丈なロープ状な性質がある事で、当初は土壌の緊縛力のメリットから河川の土壌強化に利用されて来ましたが、ニセアカシアは30年間程成長をすると活力が低下し、腐朽してしまうようです。

その結果、台風や洪水、冠雪などの影響で倒木が流木となったり、流路狭窄を引き起こしたりすることで洪水被害を増長する可能性があるほか、倒木の際に地面に大きな穴を開けてしまうことが山腹崩壊の危険性があると言われています。 [参照:長野県林業総合センタ-] マメ科植物のニセアカシアは花が咲き終えた後、インゲンマメに似た形をした莢を作ります。この莢が河川を流れニセアカシアが自生していない場所で新たに成長をしていきます。 河原や渓流沿いでも問題なく生育可能な強靭な繁殖力で更に生息域を広げ、周りの在来種の繁殖を抑制させてしまっているのです。


またニセアカシアには他の植物の生長を抑える化学物質を分泌する強い“アレロパシー活性”があるので、生息域を広げる事が比例し更に他種の植物の幼根伸長を阻害しているとも言われています。 [参照:minorasu]


ニセアカシアは大きくて香りのよい花をつけるため、農業においてもミツバチなどの送粉者が野菜や在来植物への受粉を巡って競合を起こすと言われており、山形県庄内地方ではメロン農家と養蜂業者との間に軋轢が生じているとの事です。。。


またニセアカシアが持つ病原菌の影響でリンゴや梨・桃・葡萄・黄桃などの果樹に『炭疽病』の被害を与えている事も問題視されています。 [参照:Arysta LifeScience]


しかし、これだけ繁殖力の強い植物であるために、そう簡単には根絶させる事が出来ないようです。


ニセアカシアを伐っても、伐根からたくさんの萌芽枝が発生する事や、竹のように根が広がり芽が出て成長する植物なので、地面を掘らなければ根の繋がりがわかりません。


またニセアカシアの種子は不透水性の硬い果皮で覆われているので簡単に発芽せず、地中で何年も休眠が可能なようです。 と言うことはどんなにアカシアを伐採したとしても、休眠から覚めた種子が残っており、発芽をしてしまえば急速な勢いで成長していく事になるでしょう。


こうなると出てくる対処方は結局”薬剤”を使って枯殺させる方法です。。。


果たして大木の根を枯らすような薬剤の影響は、河川の水やその地域の土壌、生産物に対して無害で済むものなのでしょうか? [参照:環境省] [参照:森林遺伝育種 第 1 巻(2012)] [参照:光珠内季報]



アカシアハチミツの特徴

世界的に見るとハンガリーやルーマニアのアカシアハチミツが有名ですが、国産のアカシアハチミツは主に東日本で盛んに生産されており、特に長野県産のハチミツがTOPシェアを誇っています。


そして地域差はありますが、関東地方では5月初旬頃から開花が始まり順々に標高の高い地域へ咲き移っていきます。


アカシアの開花時期は僅か10~15日間程と短い期間になり、天気が曇っていたり雨が降り続けると花蜜を分泌しません。 待ちに待った1年間に1度しかないチャンスなので、養蜂家としてはなんとしてもこの時期だけは天気が良いことを願うばかりです。


また他のハチミツと比較をすると色は透明に近く、純度が高いアカシアハチミツは陽の光に照らすとなんとも言えない美しい青緑色に見える時があります。 ハチミツと言えば琥珀色が濃いほうが上質なイメージがあるかもしれませんが、アカシアの場合は透明度が高い程、上質で純度が高いハチミツと言われています。


香りは花やバニラの甘さなどと表現されることが多く、味は酸味やクセが少なく食べやすいので、ハチミツが苦手な人でも比較的受け入れやすいと思います。


クセや粘り気が少ないので飲み物や料理にも使用される頻度も高く、パンケーキやヨーグルトはもちろん、チーズとの相性もよいです。 リコッタチーズなどのフレッシュなものから、ブルーチーズなどの癖のあるチーズでもはちみつ本来の風味を楽しむ事が出来ると思います。


ハチミツの甘さは果糖(フルクトース)とブドウ糖(グルコース)の2種類の糖分が関係していますが、他のハチミツと比べてアカシアハチミツは果糖の含有量が多い理由で比較的結晶化がしにくいです。 逆にブドウ糖の含有量の多いアブラナハチミツやシナハチミツは気温が低いと結晶化しやすくなります。


また他のはちみつと比べてもGI(グリセミックインデックス)値が低い事も特徴で血糖値が上がりづらい特徴があります。 砂糖と比べても少量でもはるかに甘さを感じやすいのでダイエットにも効果的なハチミツと言えます。





アカシアハチミツの効能

まずアカシアハチミツを定期的に食べることによって便秘を解消する効果がある事やヘモグロビンレベルが上がり血圧が正常になると言われています。

これはアカシアハチミツを含まれている成分には善玉菌のエサになる『オリゴ糖』や有機体である『グルコン酸』が豊富な事で腸内の善玉菌が増えて腸内環境が改善される事や、消化の働きを助ける消化酵素『ジアスターゼ』が食べたものの消化をよくし、胃炎や胃潰瘍などの胃腸への負担を減らすことで整腸作用を整える事が理由になります。


そして天然の抗菌作用の効果が過酸化水素を生成しバクテリアを殺すことに効果的であり、強力な防腐剤効果がフリーラジカルによる体の損傷を癒し、にきびや湿疹などの皮膚の改善、鼻炎や咳・喉頭炎・気管支喘息などの呼吸器系の問題、結膜炎や角膜剥離などの目の問題を治療するために役立ちます。


具体的には、アカシアにはマグネシウムやビタミンCなどの重要なミネラルやビタミン以外にもフラボノイドが豊富に含まれており、ある試験管研究ではアカシアハチミツが肝臓の浄化や心臓病・脳卒中、および肺がん細胞の拡散を効果的に阻止したことや、それ以外にも抗生物質耐性菌の2種類である黄色ブドウ球菌と緑膿菌に対してもアカシアハチミツの抗菌作用が有効であることが証明されました。


尚、空腹時にハチミツ食べる事が栄養をしっかり吸収することに効果的です。 [参照:healthline] [参照:DIETHIVE] [参照:Organic Facts] [参照:MyBeeLine]



ニセアカシアに感謝

ニセアカシアが日本の地に嫁いでそろそろ150周年になりますね。


これまでの期間で様々な面で人間の役に立ち、用が済んだら今度は嫌われてなんだか複雑な気持ちになります。。。 確かにそう言われてみれば、利根川などの河川にニセアカシアが大量に自生していた理由も納得出来ました。


逆に劣悪な環境でも強く繁殖出来るポテンシャルをニセアカシアが持っているからこそ、栄養満点なハチミツが作られるのかもしれませんよね!


どうにか今ある問題を解決して上手く共存出来れば本当に最高なのですが、現状はニセアカシアを感謝し応援していく事しか出来ません。。。

※ハチミツを熱すると本来の風味や栄養価が破壊される恐れがあります。温かい食べ物などと合わせて使用する場合は、食べ物を40度以下に冷ましてからハチミツを使用する事をお勧めしています。 ボツリヌス症をひきおこす危険性があるので1歳未満のお子様には絶対に食べさせないで下さい。

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